当院では、内視鏡を用いた各種の検査と治療を行っています。体の負担が最小限であるのが最大のメリットです。代表的な治療例をご紹介します。
消化管内視鏡
ヒトでいうところの胃・大腸カメラです。軟らかいカメラなので、胃腸の形状に沿って体内深くまで観察、検査、治療することができます。動物の場合、鼻咽頭、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸が主な検査対象です。当院では、直径が5-12mmまでの各種カメラを揃えていますので、小型犬や猫から超大型犬まで対応しています。通常、全身麻酔下で検査を行います。
長所 手術ではないので、動物の負担が少ない。
短所 ① 全ての異物が摘出できる訳ではない。
② 見える範囲に限界がある。
- 異物の回収
- 間違って食べてしまった食道や胃内の異物を手術しないで取り出します。回収困難な場合は止むを得ず手術に踏み切る場合もあります。
- 検査・生検
- 食道、胃、十二指腸、大腸の粘膜を観察して、必要に応じてサンプルを採取して診断します。
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正常な食道
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巨大食道症
食道が伸びきって、胃の入り口が空きっぱなしです。度重なる嘔吐で食道の表面が点状に出血しています
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食道炎
ジャーキーが詰まってたところが..炎症を起こしています。こりゃ、痛そうですね。放っておいたら、食道に穴が開いて大変なことに。
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正常な胃
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腫瘍
胃の出口に出来物が...検査の結果良性でした。手術ですっかり良くなりました
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炎症性腸疾患
十二指腸の表面が、凸凹しています。白いポチポチも目立ちます
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炎症性腸疾患
もっと酷い状態です。内視鏡でサンプルをとって診断できました
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慢性胃炎
胃の出口も腫れているように見えます
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鼻腔鏡
鼻の中を観察するために、1.9または2.7mmのカメラを用います。鼻炎、異物、腫瘍の診断と治療が容易にできます。この検査で異常が見当たらない場合は、CTやMRI検査が必要です。
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正常な鼻の中
表面がツルツルで綺麗です
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正常な鼻の中
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鼻咽頭
慢性鼻炎の鼻の裏側。血液が混じった鼻汁が大量に詰まってました
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慢性鼻炎
粘膜が浮腫んでいます
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生検
鼻の奥のサンプルを採取しています
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悪性腫瘍
くしゃみ、鼻水、鼻血がとまらないので観察したら...鼻の奥に出来物がありました。検査の結果は癌でした
耳鏡
耳の中を観察して外耳炎や腫瘍の治療ができます。こじれた耳のトラブルには最適です。
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耳の中
少しの汚れと鼓膜
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外耳炎
茶色い汚れが目立ちます
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鼓膜の損傷
鼓膜が破れて確認できません
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耳垢腺
白いポチポチがクッキリ目立っています。耳の中が油っぽくなり、汚れやすくなります
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耳の洗浄
頑固な汚れを取るために、洗浄しています
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腫瘍
耳の中に出来物が。検査の結果、良性腫瘍でした
関節鏡
関節の中を小さなカメラで観察しています。当院では主に膝の関節で関節鏡を用いています。肉眼で観察するよりも細かく観察できて、傷口も小さいのでお勧めです。
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膝の関節
骨と関節の内側の滑膜を観察しています
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膝のお皿
上に見えるのが膝蓋骨という、膝のお皿です
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関節炎
関節炎が進行して関節の表面が凸凹しています
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前十字靭帯断裂
前十字靭帯が完全断裂していました
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シェーバー
シェーバーという髭剃りみたいな器具で、断裂した前十字靭帯を取り除いています
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シェーバー後
前十字靭帯をシェーバーで取り除きました
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半月板
中央の白いスジが半月板です。傷ついていたので半月板を摘出しました