Q. 腹腔鏡手術とは? A. 動物にやさしい手術です
カメラで見ながら、お腹の中の検査や手術をします。5mmから12mmの小さな穴を1-3個お腹に開けて、カメラや器具を挿入します。拡大された良好な視界で、安全に手術ができます。
メリット
- 傷口が小さいので、動物の痛みと負担が少ない
- カメラで拡大しながら手術を行うので、臓器の異常が分かりやすく、出血等も観察しやすい
- 内臓が空気に触れないため、手術後に癒着(臓器がくっついたり)しにくい。腸の動きが妨げられないので、回復が早い
デメリット
- 通常の手術と比べて、追加費用が発生する
- 全ての手術が、腹腔鏡で対応できる訳ではない
当院で行っている代表的な手術例をご紹介します。 *当院では、腎臓、副腎、脾臓、胆のう、肝臓部分摘出、等の難易度の高い手術は腹腔鏡では行っていません。通常の開腹手術で対応していますので、ご了承下さい
避妊手術
当院では卵巣と子宮を摘出しています。炭酸ガスで膨らませたお腹に、5mmの穴を3個開けて鉗子、カメラ、シーリング装置を挿入します。お腹の中で卵巣の血管を切断して、子宮を体外に引きずり出して切断します。特に中~大型犬では、傷口が圧倒的に小さいので非常に有効です。開腹して行う通常の避妊手術よりも容易かつ安全なので、開腹しての避妊手術はやりたくないです...
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①
腹部の臓器を観察して、鉗子で卵巣と子宮の間を掴んでいます
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②
卵巣と子宮を牽引して卵巣の血管を確認しています。左の丸いのは腎臓です
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③
卵巣の血管をシーリング装置で出血しないように、切断しています
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④
もうちょっとで切断できそうです
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⑤
血管を出血せずに切断できました。斜めに見えているのが子宮と周囲の脂肪です
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⑥
手術後の傷跡。30kgのバーニーズちゃんで、5,5,10mmの傷口が3個でした
膀胱結石摘出
膀胱の中にできてしまった結石を腹腔鏡で摘出します。オスでもメスでも可能で、小さい傷口で動物の負担も少なく、大量に石があっても取り残しの心配も無くなりました。
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膀胱を探してます
カメラで見ながら、膀胱を体外に牽引します
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ストラバイト結石
一番代表的な結石
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シュウ酸Ca結石
鉗子で摘まんで摘出しています
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シュウ酸Ca結石
綺麗な色と形です
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ケイ酸結石
金平糖の形をした珍しい結石
その他
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腹腔内潜在精巣
睾丸がお腹の中にあります
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腹腔内潜在精巣
鉗子で睾丸を摘まんで摘出します
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生検
肝臓の表面が凸凹です。検査の結果、良性腫瘍でした
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胃固定
大型犬の胃捻転・拡張症候群を予防する為に、胃を捻じれないように固定します
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胃固定 その2
胃を掴んで引っ張り上げて、お腹の筋肉と縫い合わせます。同時に避妊手術も可能です