整形外科
- 前十字靭帯断裂
- 前十字靭帯は膝の関節にある靭帯の1つです。犬の場合、遺伝、老化、外傷等が原因で断裂してしまいます。靭帯断裂の結果、膝の中にある半月板というクッションも痛めてしまうと、かなりの痛みを伴います。特に中~大型犬では、手術が必要な場合が多く、当院では体重、年齢、御予算に応じて治療法を選んでいます。
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大型犬
前十字靭帯が断裂しています
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中型犬
こちらも断裂
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半月板損傷
損傷した半月板が手前に引っくり返っています
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関節鏡
関節を切らないで関節鏡で確認する場合もあります。断裂した前十字靭帯が確認できます
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関節鏡
画面中央に半月板が確認できます
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従来の方法
脛の骨に穴を空けて、糸で膝の関節を安定化させる手術です。当院では、小型犬や費用に制限がある場合に実施しています。
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TTA法
横から見たところ。脛の骨を一部切断して、特殊なインプラントで骨を前方に動かします
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TTA法
前からみたところ。これにより、膝にかかる力が変化して、関節炎を予防します
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手術後
25kgのラブラドール
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手術後
10㎏の雑種
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①手術後1か月
45㎏のラブラドール。骨を切った部位に白くモヤモヤした骨ができています。
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②手術後2か月
さらに骨ができています。
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③手術後3か月
黒い隙間が骨で満たされました。もう大丈夫ですね
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手術しないと
中型犬~大型犬は、手術しないで放置すると関節炎が進行します。こりゃ痛そうです。
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- 膝蓋骨脱臼
- 膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置から、内側もしくは外側に外れる病気です。遺伝的な原因が主で、重傷な場合は手術で治療します。手術では、様々な方法を組み合わせて、膝のお皿を本来あるべき溝の中に戻し、外れないようにします。
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膝蓋内方骨脱臼
両方の膝のお皿が、内側に外れています
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患部の拡大
膝のお皿が、内側に外れています。
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患部の拡大
膝のお皿が骨の上に乗るように、手術します
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溝を深くしています
溝の骨を切り出して、骨の下を削って戻します
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小型犬
骨は1cmぐらいでしょうか?かなり小さいです
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縫合
膝のお皿が外れないように、丁寧に関節を縫合します
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脛骨粗面の移動
脛の骨を一部切断して、角度を変えて、固定します。膝のお皿を外れないようにします
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脛骨粗面の移動
大型犬や活動的な犬の場合、ピンに加えて針金で固定します
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- 大腿骨頭切除
- 大腿骨の付け根の大腿骨頭という部分を手術で摘出します。骨の変形、関節炎、慢性的な股関節脱臼が手術の適応です。骨を切り取っても歩けるのは、4足歩行ならではです。小型犬では、日常生活に影響が無い歩行に回復します。
- 橈尺骨骨折
- 骨折の中では一番多い、小型犬の橈尺骨骨折です。落下事故や着地の失敗で前足を骨折してしまいます。特に成長期のT.プードルちゃん等の前足が長くて細い犬種は要注意です。
- その他の骨折
- 交通事故や転落事故が主な原因です。多くの場合で、手術により固定が必要となります
神経外科
当院では、主に腰の椎間板ヘルニアの重傷な場合に手術で対応しています。M.ダックス等の胴長短足の犬で非常に多い病気です。椎間板という背骨の間にあるクッションが飛び出てしまい、脊髄神経を圧迫することで起こります。MRI検査により原因の場所を突き止めてから手術をしますが、緊急の場合や専門病院での治療に金銭的に困難な場合は、当院における脊髄造影により場所を特定して手術をしています。椎間板ヘルニアであれば、脊髄造影検査で十分に診断が可能です。
椎間板ヘルニアの場合、歩けない、足が動かない状態を放っておくと、最悪、神経の機能が回復しないこともあります。その後の犬生を車椅子生活にさせない為にも、異常がある場合には、早急にまともな動物病院に相談する必要があるでしょう。
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脊髄造影検査
脊髄神経の周りに白い造影剤を注入してレントゲンを撮影。矢印部分で脊髄が圧迫されています
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脊髄造影検査
矢印の場所で脊髄が圧迫されています。今回は腰椎です
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脊髄造影検査
矢印の部位で脊髄が圧迫されています。白い造影剤が曲がっています。左右の確認のために角度を変えてレントゲンを撮影してます
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M.ダックス
腰の椎間板ヘルニア。矢印の部分で、脊髄神経を押し上げています
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M.ダックス
脊髄で出血しています。グレードⅤという1番重症な状態でした